建物を水害から守る!水害対策の防水工事の種類と効果について

モンスーンアジアの東端に位置する日本は、世界でも雨の多い地域です。国土交通省の調べによると、日本の年平均の降水量は1718mmで、これは世界平均の約2倍に相当します。なかでも雨が集中する梅雨期や台風期には、雨による水漏れなどの水害に悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、建物を水害から守る防水工事の内容や施工のタイミング、工法の種類などをくわしく紹介します。

目次

なぜ必要?大切な建物を守る防水工事の効果と内容

防水工事とは、建物に水が侵入するのを防ぐ工事のことです。防水工事にはさまざまな工法がありますが、建物の屋上やベランダなどの平坦で雨水が残りやすい場所にウレタンやFRPなどを塗装したり、サッシと壁の間をシーリングで覆ったりというのが一般的です。

防水工事は建物を長く維持させるために重要な施工です。たとえば鉄筋コンクリートの建造物では、雨漏りによって鉄筋が錆びてしまうと、鉄筋内部の体積が膨張し、躯体に負担をかけます。その結果、コンクリート部分にヒビ割れや漏水が生じてしまいます。

漏水を放置すると、劣化はさらに進み建物の寿命が縮めてしまいます。木造の建物の場合は漏水によって躯体が腐食してしまう可能性があります。
腐食が進むとカビやシロアリなどの発生原因となるほか、耐久性が著しく下がるため最悪倒壊する原因となってしまいます。

雨漏りは鉄筋や木造に限らずどのような材質においても劣化を促進させる要因となり得ます。そのため鉄筋や木造、プレハブなど、あらゆる材質の建物に防水工事は必要です。
大雨による水害から大事な建物を守り、雨漏りによる建物の劣化を避けるためにも、定期的に防水工事を行いましょう。防水工事には高い施工技術が必要ですが、業者や工法を上手に選べば、水や雨だけでなく雪や紫外線などから建物を守り、長持ちさせることができます。

目安はいつ?防水工事のベストなタイミング

防水工事を行うタイミングは、10年から15年が目安とされています。防水工事で使用する防水材の耐久年数が10年から15年というものが最も多いためです。
しかし、防水材の耐久年数に関わらず、建物の防水層に変色や破れ、亀裂などが生じている場合は、早急な防水工事が必要です。

また、建物に次のようなトラブルを発見したときも、防水工事をおすすめします。それは、雨漏りや防水層の膨張、水たまり、排水溝のつまり、コンクリートや目地のひび割れ、目地に雑草が生えているなどです。とくに、雨漏りは建物内部の鉄骨部分を錆びさせ、さらに状態が悪化すると木材が腐食する原因になります。
雨漏りを発見したときにとくに対処もせず、そのまま放置すると、建物の躯体そのものがダメージを受け、劣化が早まります。また、腐食した木材はカビの発生源になる恐れもあり、健康面においても悪影響を及ぼすので、雨漏りを見つけたら早急に対応しましょう。

また、排水溝の詰まりにも要注意です。なぜなら、詰まった状態の排水溝にはゴミや枯葉と一緒に水も溜まっています。その水が防水層を劣化させ、建物内部に侵入している危険性があるからです。
排水溝の掃除はついつい後回しにしがちですが、こまめに行うことで水漏れを防げます。しかし、長い間、排水溝の詰まりに悩んでいるという建物は、防水工事を検討することをおすすめします。

コストや特徴は?防水工事のポピュラーな工事3つ

防水工事にはさまざまな種類の工法がありますが、なかでもポピュラーなのがウレタン防水、シート防水、コーキング処理の3つです。それぞれの工法に特徴や適した場所がありますが、オールマイティーなのはウレタン防水です。ウレタン防水は、建物にウレタン塗料を塗布して防水膜をつくります。複雑な形状の建物にもなじみやすく、水密性の高い防水膜が形成されるのが特徴です。
屋上をはじめ、あらゆる場所の防水に使用されますが、防水膜の耐久性が低く、定期的な塗り替えが必要という側面もあります。しかし、ウレタンを繰り返し塗装することで、水だけでなく紫外線に対しても耐久性がつく、また、施工費用が比較的安価などメリットが多いのも特徴です。

そして、シート防水は、大型ビルやマンションの屋上など広い場所で持ち味を発揮します。たとえば、シート防水は工業製品であるゴムシートや塩化ビニールシートで覆うため、マンションや商業ビルの屋上など仕上がりの美しさを求められる場所に最適です。
また、重量が軽く、建物の構造も選ばす、おまけに安価なので重宝されています。これまではシートが薄くて衝撃に弱いため、接合部分が剥がれやすいなどのデメリットもありましたが、年々改善されているのも特徴です。

最後にコーキング処理とはシリコンなどで溝などを防ぎ、隙間からの雨漏りを防ぐ工事です。コーキング剤はホームセンターなどで調達することができるので、自分で処理を行う人もいますが処理を間違えると不必要な箇所まで処理をしてしまったり、必要な箇所に処理ができておらず雨漏りが起こってしまったりなどの危険性があるので、専門業者に依頼するのが最も安心です。

防水工事は必要な箇所を見極めて適切な方法で施す必要があります。本来必要ではない箇所に処理を施してもそれ以上の効果は見込めないので、専門業者には必ず現状を調査してもらい、しっかりと作業内容を確認したうえで依頼するようにしましょう。

まとめ

防水工事を行うメリットは、雨や水などの侵入はもちろん、雪や台風、紫外線からも建物を守れることです。また、防水工事を怠ると、建物の劣化や資産価値の下落など思わぬトラブルのもとになります。

防水工事の目安は10年から15年とされていますが、雨漏りや排水溝の詰まりなどのサインも見逃さないようにしましょう。そして、専門業者と相談してさまざまな工法のなかから適材適所の工法を選び、ベストな防水工事を行ってください。