老朽化した建物は雨漏りしやすい?雨漏りの起こりやすい建物とは

どんな建物であっても新築から10年、20年と長い年月が経つにつれ、老朽化によるトラブルが起こりやすくなってくるものです。なかでも「雨漏り」は生活にも深刻な影響が出る重大なトラブルです。 雨漏りは経年劣化によって起こりやすいトラブルの1つで、メンテナンス不足や建築部材や構造上の問題などによっても発生リスクが高くなります。 そこで、ここでは具体的にどんな建物が雨漏りリスクが高いのか、いくつかのポイントを挙げてその原因について考えていきましょう。

目次

雨漏りリスクのない建物はない

定期的なメンテナンス

雨漏りは生活にも重大な影響の出る深刻なトラブルですから、できることならば避けたいものです。
ところが、どのような材質、構造をもってしても、雨漏りを100%抑えることができる建物というのは存在しません。
鉄筋コンクリート造であれ、木造建てであれ、建物の経年劣化による雨漏り発生のリスクは避けられないものです。
したがって、雨漏りを防ぐには建物の特徴をふまえたうえで定期的にメンテナンスを適切に行うことが何よりも重要となります。

メンテナンスを定期的に行っていない建物は、どのような材質やデザインのものであれ、雨漏りのリスクが非常に高いといえるでしょう。
鉄筋コンクリート造の建物では、経年劣化による防水塗料やタイルなどの材質の劣化がその大きな原因となることが多いです。
木造建ての建物は鉄筋コンクリート造と比べても災害などに対して弱く、経年劣化による影響がより深刻化しやすい傾向にあります。
木材は湿気に弱いために、一度どこからか水が入ってきてしまうと2次被害、3次被害と被害が拡大するスピードも速いというのが悩みどころです。
雨漏りの発生頻度という点でも、木造建ての建物のほうがリスクは大きいといえます。

ただし、木造建ての建物の雨漏りは原因を特定しやすいので、早めに対処することで雨漏りの深刻化を防ぐことができます。
雨漏り被害がまだ出ていない建物であっても問題箇所が生じていることは多いので、雨漏り予防という観点からも定期的なメンテナンスを行うことは大切です。

雨漏りしやすい鉄筋コンクリート造とは?

それでは、もう少し具体的にどのような建物に雨漏りが起こりやすいのかを見ていきましょう。
まず、マンションなどの集合住宅の大多数を占める鉄筋コンクリート造の建物についてです。
鉄筋コンクリート造は基本的に木材と比べると劣化しにくい材質を使っています。
ただ、台風などで強い雨風に吹き付けられたり、地震での横揺れを受けたりすることで、外壁にクラック(ひび割れ)が起こってしまうことがあります。
これを放置しておくとそこから建物内部へ雨水が入り込み、深刻な雨漏りを引き起こしてしまうという危険性があります。
したがって、外壁のひび割れが目に見えてひどい、あるいは外壁のタイルが剥がれ落ちたことがある、といった建物は危険信号です。

雨漏り被害が出やすいのは外壁だけではありません。建物全体に施工されている排水機構も重要なチェックポイントとなります。
マンションは屋上部分が平面になっていますので、防水シートなどの膜を張って雨水を建物の外側へ逃がさなくてはなりません。
さらに、その水を外へ流し出すために、タイルなどの外壁と内壁の間に水の通り道を作ります。
こうした排水機構の部分には、水をはじく材質の塗料を塗って防水シートを張るなどの特別な工事が施され、水が建物内部へ侵入しないように施工されているのです。

ところが、一部のマンションではこの防水工事の施工ミスや、防水シート、防水塗料などの材質の劣化などによって雨漏りが起こることがあります。
こういった問題は素人目にはなかなか判断しづらいのですが、きちんと定期的なメンテナンスが行われている建物ならばほとんど避けることができるものです。
定期メンテナンスは数年に一度くらいが目安とされていますから、少なくとも10年以内に一度もメンテナンスをしていないという建物だと要注意です。

雨漏りしやすい木造の建物はどんなの?

木造建ての建物は鉄筋コンクリ―ト造と比べて災害に弱く、特に地震の揺れに関して影響を受けやすいという特徴があります。
実際に建物の倒壊や破損などの大きな被害がなかったとしても、骨組みがわずかにゆがんだり、隙間が空いたりといった小さなトラブルによって建物の劣化が進んでしまう恐れがあるのです。
木材は雨や湿気にも弱いので、鉄筋コンクリート造と比べると雨漏りのリスクは高い建物であると考えたほうがいいでしょう。

日本の木造建ての建物の多くは、日本独自の木造建築工法である「在来工法」で建てられています。
建物のバリエーションが豊富で設計の自由度が高く、リフォームも行いやすいのですが、間取りや建物の構造が複雑になればなるほど雨漏りのリスクは高くなります。

特にポイントとなるのは、工事の難易度の高い屋根部分です。
間取りが多い建物では屋根と壁のつなぎ目の工事の難易度が上がるため、施工上の小さなミスであってもわずかなズレが起こりやすいのです。
屋根や天井だけでなく、窓やサッシなどの開口部の工事が丁寧に行われているかも重要なチェックポイントです。
木造建ての建物では、開口部のわずかな隙間から水が入ることで起こる雨漏りトラブルも多いです。
窓枠のゆがみや開口部周辺のシーリング施工が雑だと、雨漏り発生のリスクがかなり高くなってしまいます。

建物の構造上の理由から雨漏りしやすいというケースもあります。たとえば「陸屋根」と呼ばれる平面上の屋根を持つ木造住宅です。
おしゃれでモダンなデザインで人気となっていますが、雨漏りリスクという点ではおすすめできない構造です。
もともと木造建ては地震などによる揺れに弱くて敏感です。
そんな木造建ての平面上の屋根に張られた防水シートは、ほんの少しの揺れであっても破損しやすくなっています。
そのため、陸屋根の木造住宅では、屋根にたまった雨水が天井にしみこんでしまうといった雨漏りトラブルが多発する傾向にあるのです。
このように、建物の構造上の問題も雨漏りしやすい建物かどうかを見分ける重要なヒントとなることがあります。

まとめ

雨漏りはどんな建物にも起こりうるトラブルです。
構造や施工の出来などによって雨漏りを防ぐことはできますが、経年劣化によって建物が傷んでくるのは仕方がないことです。
したがって、定期的なメンテナンスを適切に行っているかということが、雨漏りを避けるうえでより重要です。

メンテナンスは雨漏り予防という点でも重要ですから、事態が深刻化する前に専門業者などに依頼して、数年に一度は建物をチェックしてもらいましょう。