賃貸で雨漏りがした時にはどうすれば?まずどこに相談?

賃貸物件で雨漏りが発生したら、借主としてはすぐにでも修理してほしいものです。賃貸物件の場合、建物が原因の雨漏りは基本的には貸主に修繕義務があります。反対に、借主には「善管注意義務」といって、修繕が必要になった場合は貸主に連絡をする義務があります。 ところが、「貸主に連絡してもなかなか対応してもらえない」「借主から雨漏りの報告がなくて建物がボロボロになってしまった」など、トラブルになることも少なくありません。 賃貸物件で雨漏りがあった場合はどのような対応をすべきか、貸主・借主両方の立場で考えてみましょう。

目次

雨漏りの原因と修繕義務

義務

雨の日に天井から水がポタポタ滴ってきたとき、平屋の戸建なら屋根部分からの雨漏りと考えるでしょう。
しかし、2階建で上階にもトイレや洗面所がある場合、もしかしたら水漏れかもしれません。
マンションやアパートなどの共同住宅でも同じです。
雨漏りの原因を特定するのはとても難しく、雨漏りか水漏れかによって、また原因箇所によって、借主・貸主のどちらが修繕の義務を負うかが違ってきます。

雨漏りは、屋根や外壁などの劣化が原因となることがほとんどです。
築年数が浅い場合は建築時の施工不良ということもあります。
このように、構造物に問題がある場合は貸主に責任が生じます。
民法第606条で「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」と定められています。
仮に、契約時に「屋根や外壁修理は借主負担」という特約があってもそれは無効なのです。

しかし、使用者である借主の不注意による雨漏りもあります。
たとえば、窓を閉め忘れていて雨が大量に室内にふきこんだとか、ベランダに置いた植木鉢や物入れが排水口を塞いでいて雨水が溢れたなどです。
これらは建物ではなく使い方の問題になり、修繕や補償の責任は借主が負うものになります。

雨漏りは建物を傷め、老朽化を進める原因になります。
また、ダニやカビの発生原因にもなり、居住者の健康を損ねることもあります。
貸主借主双方に、早急かつ適切な対応が求められます。

貸主が気をつけるべきこと

リスクに備えて火災保険や地震保険に加入している貸主は多いでしょう。
しかし、これらは不測の事態に備えるものです。
たとえば「台風で屋根の一部が飛ばされた」「突風でとんできたものが壁に当たってそこから雨水が入りこんだ」などが補償の対象で、建物の老朽化による雨漏りは補償対象から外されるのが一般的です。

そこで気をつけたいのが、定期的な大規模修繕です。
大切な資産である賃貸物件を良い状態で維持するためにも、10年に1回くらいのペースで屋根や外壁の点検・補修、防水施工などを行いましょう。

雨漏りが発生したとき、まず行いたいのが保険会社による調査です。
調査結果によっては、古い賃貸物件でも補償対象になるかもしれません。
また、建物が原因となる雨漏りで借主の家財に損害を与えた場合、補償してくれるのが「施設賠償責任保険」です。
賃貸物件にかけている火災保険で、特約として付いていることもありますので、補償内容についても確認しておきましょう。

修理したはずなのに、別のところから雨漏りが始まることもあります。
雨漏りの原因を突き止めるのは大変難しいことで、プロでも見落とすことがあるほどです。
多少費用がかかっても、雨漏り専門の業者に依頼するのがおすすめです。
「建築板金基幹技能者」や「雨漏り診断士」といった雨漏りのプロフェッショナル資格を持つ業者なら、より安心です。

借主が気をつけるべきこと

雨漏りを発見したら、まず雑巾やタオル、バケツなどで水を受け止めるようにしましょう。
また、家具があればビニールなどを被せて保護、動かせるものは移動させます。特に電化製品は、感電の危険があるので要注意です。
後日、補償責任についての話し合いがこじれることがあるかもしれません。
証拠となる写真や動画を撮っておきましょう。

次に、契約書や重要事項説明書に記載されている管理会社、または不動産会社に連絡をとります。
営業時間外で連絡がつかないけれど緊急性が高いというときは、24時間対応の住まいの緊急サービスなどの業者に依頼して、応急処置をしましょう。
費用が発生したときは、必ず領収書をもらって保管することを忘れてはいけません。

「天井や壁にちょっとシミができた程度だから」といって、そのままにしてはいけません。
前述のとおり、借主には「善管注意義務」があります。
雨漏りを放置して建物の構造部を傷め、老朽化を進めたとなると、貸主から損害賠償請求される可能性もあります。
また、湿気によってダニやカビが発生し、アレルギー性の疾患を引きおこすことも考えられます。
建物と居住者、両方の健康を守るためにも必ず連絡するようにしましょう。

雨漏り以外に、自身の不注意による水漏れ事故も考えられます。当然ですが、この場合は貸主に補償責任はありません。
自宅の修繕はもちろん、集合住宅では階下への損害賠償も個人が負うことになります。
賃貸物件に住むときには、借家人賠償責任補償・個人賠償責任補償の付いた家財の火災保険に加入しておくことをおすすめします。

まとめ

賃貸借契約では、不信感がもとで裁判にまで発展することもあります。
貸主の立場では「不具合があるのに報告がなく、建物を傷めたり勝手に改造したりした」、借主の立場では「連絡したのに対応してくれなかった」といった不満が争いの原因になります。

賃貸物件で不具合が発生したときは、双方が的確かつ迅速に対応することが、トラブルを最小限にとどめるコツといえるでしょう。